2017年7月26日水曜日

赤い太陽系の惑星に酸素を探す~われわれはもう孤独ではない?!~

 地球サイズの惑星が7つもあり、その内の3つは水が液体で存在できると考えられている、水瓶座の方向へ40光年先(とても近い!)にある赤い太陽系(赤色矮星と惑星群)「トラピストー1」にいま大きな関心が集まっています。
 セブンシスターズ(7姉妹)と呼ばれている新たに見つかった「系外惑星群」は、大きさがどれも地球サイズで、しかもどれも「岩石惑星」であることから、これまで人類が長らく夢見てきた、この宇宙のどこかにある、もうひとつの地球という夢想にひとつの答えを出すものとなる。SFのおとぎ話であったこんな地球型惑星が、科学の話題として議論される時代になったとは、誰が予想していたでしょうか。
 はたしてこれら惑星群には、大気はあるのでしょうか。もしあるとすればその組成はどうなっているのでしょう?大気に生命の存在を示す「酸素」ははたして存在しているのでしょうか?水は存在しているのでしょうか。興味の尽きない研究課題が次々と解明を待っており、いま世界中の天文台では、熱い大気観測合戦が繰り広げられているとのことです。
 しかしもし、酸素が大量に存在することが観測でき、水も液体であるというという答えが出てきたとき、この科学的事実の重さは、計り知れないものがあり、衝撃的といっていいのではないでしょうか。「生命」とは何か、われわれはどこから来てどこに行くのか。画家ポール・ゴーギャンも問いかけた、宇宙に中での命の意味を再びわれわれに突きつけることとなるでしょう。地球型の生命がこの宇宙には、どこでも存在する可能性がもし明確となったとき、人類の自然観や宗教観など根底からひっくり返される可能性があります。
 わくわくするのは、この系外惑星群の組成解明は科学的に可能であり、実にすぐそこに迫っているということです。小さな地球で、たったひとつの生命、DNA型の生命しか知らなかった私たちですが、大宇宙がなぜ生命を生んだのか、わたしたちの存在とは何なのか、その答えのひとつがいま解き明かされようとしているのでです。











2017年6月20日火曜日

二酸化炭素を逆循環!人工光合成の技術に人類の期待

 海洋に棲息する海藻類、植物性プランクトン、そして地上の植物は、二酸化炭素と水を原料として、太陽光をエネルギー源として有機物を生産し、酸素を「廃棄物」として排出するという「奇跡のシステム」を30憶年に渡って稼働させてきました。地球大気に酸素が大量に含まれているのは、光合成を行なう小さな生きものたちがずっと酸素を吐き出していたからとされています。
 一方人類はこれまで、木材からはじまり、石炭、石油など化石燃料へとあらゆるものを燃やしてエネルギーを取り出しその結果、大気中に二酸化炭素を大量に排出してきました。いまこれを逆にギアチェンジするともいうべき新技術が登場しつつあります。植物が行なっている、水と二酸化炭素を材料とし、有機物と酸素を生産するという「人工光合成」の技術です。
 植物は、最初に水を分解して水素を作り、それと二酸化炭素を反応させて有機物を作っていることがつきとめられました(驚くべきことにこれは比較的最近分かった事実です)。これを技術で再現できると考え、いま世界中で精力的な研究開発が進められています。多くは反応を効率的にする触媒の開発です。大気中の窒素を固定する化学反応以来、あるいはそれ以上の技術革新と言える二酸化炭素から有機物を生産するという新技術は、はたして確立できるのかいま世界中が注目していると言っていいでしょう。
 前回述べた「オオシャコガイ」の体に共生している「褐藻類」は、光合成で有機物を作り出しています。物質の収支で見ると、一個の個体が、水中から二酸化炭素を取り込みそして呼吸でそれを排出するという特殊な生き物といえます。人類もこれに倣い、一方的な二酸化炭素の排出の時代から二酸化炭素を逆循環させ活用する時代へと進んでほしいものです。

光合成 に対する画像結果

2017年6月6日火曜日

失われる貴重な海の生物種~南シナ海のオオシャコガイを救え!~

 地球上で最大の貝である「オオシャコガイ」。泳いでいる人が足をとられて溺れたといった逸話が多く語られてきました。成長した個体は、体長が2メートル近く、重さは200キロを超えるといいます。ニ南太平洋から、インド洋にかけた暖かな海域に棲息しています。貝柱は食用となり、殻は生活道具に利用されたりしますが、真珠を採取できることもあるといいます。
 海洋に進出する中国が、南シナ海での領有権争いの末、人工島などの建設でで岩礁の乱開発が進行していますが、環境破壊と生態系への取り返しのつかない破壊行為として憂慮する声が上がっています。米・マイアミ大学の海洋生物学者のジョン・マクナマス博士らはこのままいくと何百という生物種が短期間のうちに絶滅することになると、いま警告を発しています。
 スプラトリー諸島での軍事施設(人工島)の建設だけでなく、中国漁師による大規模な密猟も生物に破滅的な影響を及ぼしているといいます。希少なサンゴやオオシャコガイの密猟です。オオシャコガイ漁は岩礁に深く身を沈めるように棲息している生物ですので、これを採取するには岩礁を掘り返しすことになります。つまり岩礁は大きく破壊されるのです。海の中では、岩礁は特別な生態系を生み出す場所で、小さな生物、藻類、また魚の稚魚などがここをは住処としています。こうした多彩な岩礁性動物がを失われると、やがて生態系システムのメカニズムで、これを餌としている大型魚も減少していくのです。
 この巨大貝には大きく育つことが可能となる秘密があります。カラフルな貝の体には細胞内に数十億の藻類(褐虫藻)が共生しており、この藻類が光合成で生み出す糖やタンパク質を貝に供給してくれます。こうして労せずに、貝は大きく育つことが可能となったのです。別名「光を食べる貝」と呼ばれる訳はそこにあります。まことに不思議な生き物と言えるのではないでしょうか。もちろん他にプランクトンもロートで濾して食べます。こうして栄養の乏しい海域でも、何億年も彼らはたくましく生き延びてきました。いままた人間の身勝手な行動が、数億年にわたって命を紡いできた貴重な海の生物種にさえ手をかけて、彼らを絶滅に縁に追いやろうとしています。               
    写真:ナショナルジオグラフィックス 撮影:George Grall



2017年6月1日木曜日

適切な肉・乳製品・コーヒーの摂取は健康長寿への道

 肉や乳製品を多くとる欧米型と呼ばれる食事を好む方には、朗報かもしれませんが国立がんセンターが主導した大規模な国民追跡調査で何と、「欧米型の食事パターン」を繰り返していた方は、がん死亡、循環器疾患、心疾患(脳血管疾患もやや低下の傾向)、そして全死亡でもそのリスクが低下していた(およそ1割程度)といいます。
 なにしろ全国8万人を22年間も追いかけた調査ですので、データの信頼度は各段に高いものと考えられえます。この結果をどう分析するかは今後まだまだ議論を呼ぶものと思いますが、調査を行った国立国際医療研究センターの溝上疫学・予防研究部長らによると欧米型の食事では、塩分摂取が比較的少なく、たんぱく源が適切に摂られている(欧米諸国民ほど肉は大量に食べていないこと)、コーヒーなどもプラスの効果があったからと考えています。肉や乳製品の健康との関係を考えさせられる結果となりました。
 では私たちはこれからどういう食事を摂っていくべきなのでしょうか、研究者には健康長寿の視点で、肉や乳製品の摂取のめやすなどをわかりやすく示してほしいものです。高齢者のアルブミン値が低下してる傾向などを考えるときどういう風に肉を食べ、乳製品をどういう風にうまく取り入れるかなども管理栄養士ともども国民に提示してほしい。
 こうした生の情報で人々が混乱し、間違った判断をしないためにはそうしたフォローが必要かと思います。

対象地域一覧

2017年5月29日月曜日

土壌は貴重な「資源」である~農地の洪水流失被害で思うこと~

 昨年の北海道の富良野での台風被害は、その実態が科学的に詳しく紹介されてこなかったように思います。これはメディアの責任、特に科学ジャーナリストの責任があると考えています。
 あまり報道されてこなかった事実として、この地が全国有数の「種イモ生産地」であって、実はここから種イモが日本中に供給されているという事実でしょうか。つまり富良野の被害は、富良野に留まらず、全国のイモ生産に大きな影響があったということです。特別に品質が問われる種イモは富良野のような寒冷地でないとうまく生産されないといいます。イモは私たちが日常口にしている食材ですが、そんな食材のことを何と無知であったかを教えてくれているようです。それにポテトチップスのような商品が、不足し生産ストップになっているということなどは詳しく報道されても、その背景を科学的視点で取材したものを目にすることはありません。
 富良野での洪水被害関連であまり報道されてこなかった事実として、この地の貴重な「土壌」が大規模に流失し、奪われたことではないでしょうか。農家の方々が嘆いておられるように、農業の土=土壌は一朝一夕にできるものではありません。これは何代もかけ、有機肥料やたい肥で育て上げられた「財産=資源」なのです。イモの成長にふさわしい土壌は、何年もかけて「培われてきた」ものなのです。他に土地から土を運べばいいじゃないかと考えている人は多いと思いますが、イモ栽培の土壌は時間をかけて育て上げtられた「資源」なのです。土壌を研究している学者は、岩石が砕かれて植物が育ち、その有機物がまた分解されて土の粒をつくっていくという工程が、実に時間にかかる作業であることを明らかにしています。またそこに棲息する、ひとつかみで何億匹もいる微生物あるいは小動物などの働きは重要とされていますが、その99%はいまだどういう働きと作用をもった微生物かはわかっていないといいます。その地で生態系にさらされて作り出された「土壌」は、ほかのどの土地の土壌でもない、独特の個性と特性をもった土壌なのです。つまり現在、人がこうしした土壌を科学で作り出すことはできないのです。土壌というものがいかに貴重な「資源」であるかはこれで理解していただけると思います。復興にも影響するこうした科学的な事実こそもう少しきちっと伝えるべきではないでしょうか。写真:富良野観光協会




2017年5月24日水曜日

想像を超える「超巨大噴火」があらゆる生物の命を奪った!



 2億5200万年前にあった史上最大の生物大量絶滅は、古生代が終わり、中生代の幕開けを知らせる地球史上のイベントとして記録されています(ペルム紀末大量絶滅 P/T境界)。このとき、生物の大量絶滅がなぜ起こったのか理由について様々な議論がなされていますが、確実にわかっているはこの時期、マントルオーバーターンの動きである「ホットプルーム」の活動が非常に活発になり、「超巨大噴火」が各地であったことです。ユーラシア大陸ではシベリア地域でこの大噴火の証拠を示す、玄武岩の広大な大地が見つかっています。玄武岩は、粘性の少ないマグマが固まってできたものです。
 その面積は、700万平方キロメートル、日本の国土をはるかにしのぐ大きさの「熔岩大地」です。こうした超巨大噴火の遺跡ともいえる、玄武岩の大地はインドのデカン高原、アメリカのコロンビア台地などが有名ですが、現在の海洋の海底で見られる「海台」と呼ばれる広大な海底台地も実は、この玄武岩台地と考えられています。「洪水玄武岩」という名前がついています。この人類が経験したことにない規模の火山活動では、火山ガスが大気に大量にまかれ微粒子が全地球に漂い、太陽光を遮って異常気象を引き起こしました。また硫酸の雨が降り、環境はさらに悪化し気温も長期にわたり、数十度も下がったと考えられています。植物が消え、海も酸素欠乏状態となり、あらゆる生物は存在できないようになったものと思われます。
 ここでいう「超巨大噴火」とは、数千万年から一憶年に一度あるという地球規模の噴火現象であり、私たちが知っているピナツボなどの噴火規模レベルではありません、もっともっと大規模な火山噴火が地球の歴史では繰り返し起こってきたのです。
 
<画像はシベリア洪水玄武岩  引用原文:Nature (2011-09-15) | doi: 10.1038/477285a >


   







2017年5月15日月曜日

いま「天然原子炉」の化石に学ぶべきもの

 地球史のなかでひとつ謎めいた事実を挙げるとすれば、それは遠い昔にアフリカに「天然原子炉」が存在したという報告でしょうか。1972年ころ、ガボン共和国のオクロ鉱山でのフランス人研究者がある驚くべき事実をつきとめました。原子炉の燃料となる「ウラン」の同位体238と235の比率を調べたところ、他の地域と明らかに異なる比率を示したと言います。これはこの地で「核連鎖反応」が起こったことを科学的には示しています。では、なぜ核反応が生じたか、研究者たちはこれはきっと「自然の原子炉」が機能したのではと推量しました。「原子炉の化石」ではないかと考えたのです。
 核連鎖反応には、ウラン235の十分な濃縮と周囲に水が存在することが必要とされます。水があることで連鎖反応は促進されるといいます。こうしたことは、可能性は論じられてきましたが、オクロのデータは計算によるとおよそ18億年前に実際に自然界で、核反応が起こったことを教えてくれています。その規模は、現在の商業用原子炉に比べ小さいものとされていますが、数十万年にわたり断続的に核連鎖反応が生じたものと考えられています。
 この自然原子炉は、興味深い特異な地質ポイントというだけでなく、実は現代の私たちの社会的な問題と関連しています。原子力を使用することで必然的に常時発生する、「放射性廃棄物」をどう処分するかという問題です。最良の方策として検討されている、地中への埋設法でオクロは大きな情報を提供してくれるのです。例えば、揮発性の核生成物、カドミウムとかセシウムなどは大部分失われているのに対して、ウランやトリウムは18億年経ってもそのまま残っていることなどが事実として分かっています。オクロのことをもっと論じていくべきではないでしょうか。核廃棄物の処理法については、いまや誰も真剣に議論しないようになっていますが、こうしている間も、核のゴミはこの狭い国土に蓄積され続けています。