私たちが知っている素粒子、原子ではない“物質” らしきものとして「ダークマター」あるいは「ダークマター粒子」が大宇宙に存在することは、すでに決定的となっています。遠く離れた私たちの天の川銀河とは異なる銀河。そのなかでも渦巻銀河の精緻な観測から、ある事実が浮かび上がってきました。銀河系は何億年という悠久の時間をかけて公転していますが、銀河の中心からどれだけ離れた恒星も同じ公転速度であることがわかってきました。この銀河の回転速度で飛び出そうとする力を留めているのは、銀河全体の総重力と考えられますが、恒星の総量を合わせても計算上これを引き留める物質量にはならないといいます。そこには何か恒星が飛び出すのをつなぎとめる「引力」が必要となりますが、この引力を生み出しているものこそ見えない物質「ダークマター」だとされました。
また銀河系がレンズとなって光を曲げる現象でも、このダークマターを計算にいれないとつじつまがあわない光の偏向があるといいます。そしてふたつの銀河が衝突し、合体したと思われる「弾丸銀河団」ではこの不思議な物質は、相互に影響することなく銀河団をくぐり抜けて、まるでミッキーマウスの耳のような球状の構造を作っているとされ、だれもがこの「見えない物質」がどうやら銀河の構造を形作っているようだと信じるようになりました。電荷をもたず、光を吸収も放出もしないというダークマター粒子、それはいったい何者なのでしょうか。研究者たちは、このダークマターは、銀河系にとりつくように大規模の構造体を形成しており、銀河系の構造はどうやらダークマターが決めていると考えています。
弾丸銀河団