老化を医学、科学で解明することをめざす「老年医学」。これまで一般にはあまり知られていなかった医学の専門分野ですが、ますます注目されるようになっています。老いとは何なのか、加齢とともに心身の変化がどのように起こっていくのか、様々な研究が進んでいます。健康寿命を延ばすために、健やかな老いを迎える社会を築くために、老年医学はますます必要度を増しています。
例えば自然に体力が衰え、からだの機能も低下していくことを「生理的な老化」と呼びますが、これに多くの場合、高齢者特有の疾病が加わるのでこの「病的な老化」と自然な老化を混同し同一視しやすいということがあります。白髪や皮膚のしみや体重に占める水分量は低下しますが、それといわゆる「脱水現象」とは区別されます。前者は生理的、後者は病的とされます。老眼や難聴は生理的老化で、白内障は病的変化となります。失禁やロコモティブシンドローム、骨粗しょう症、嚥下障害なども「病的」変化の範疇に入るものとされています。このあたりをあまり区別はしていないようです。だれでもが迎える「老化現象」と、誰にでも起こるわけではない「病気」とが区別されていません。老年医学はこうしたことも明らかにしてきました。
老化を逆方向に戻すのはむつかしとしても、病的な老化は、正しく対処して治す、あるいは改善すべきと思われます。またここに社会的な問題や、精神心理的な課題も加わり、さらに様相は複雑化します。自分に起こっている現象が、どれにあたるのか、そうしたことも教えてくれる窓口も必要です。高齢者の総合機能評価とか老年症候群の症状を正しく伝えるのは誰が対応すべきなのでしょうか。決してマイナス部分だけでなく、明るく対処できるはずの老化や加齢変化。いまこそ老年医学の知恵や知識を人々に還元し、大いに活用すべき時が来たと思います。
参考:「高齢社会の教科書」東京大学高齢社会総合研究機構
2016年10月30日日曜日
2016年10月1日土曜日
人はなぜ高血圧になるかまだ解明されていない~加齢の不思議
加齢とともに多くの人は「高血圧」になります。学会が定めるガイドラインでその数をカウントするとわが国の患者数はおよそ4300万人に上るといいます。高血圧は、自覚することがなく進行し、やがて動脈硬化を引き起こし、脳こうそくや心筋こうそくを発症する、死に至る疾患といえるでしょう。
これほど日常でもっとも高頻度に見られる疾患といえる高血圧ですが、その大部分を占める「本態性(ほんたいせい)高血圧」は、その原因が実ははっきりしていないといいます。現在、もし原因を説明するとしたら、ひとつは遺伝的要素(因子)でありもうひとつは生活環境因子だといいます。遺伝的要素とは神経系や、腎臓、血管系などが正常でなくあり、血圧調整がうまくいかなくなるということだといいます。生活環境因子とは、暮らしのなかで、食塩の過剰摂取、喫煙、アルコール、運動不足、ストレスなどが発症に寄与しているという考え方です。これらふたつはどちらも重要な因子であり、結論としては、いわゆる「生活習慣病」の仲間ということになっています。
この加齢にともなう血圧上昇への対策として大きな注目があつまっているのは「運動療法」です。
アメリカの心臓病学会が18歳以上の健康な成人5223人について、精密なデータ分析を行なったところ、有酸素運動やレジスタンス運動による「降圧効果」が明白になりました(2013年発表)。
その要点はおよそ以下のようとされています。
*運動頻度は週2日でも効果が表れる
*また一回の運動時間は30分未満では効果がなく30分から45分の間がのぞましい
*運動強度は中強度が一番効果が表れる。低強度では効果が表れない。
これらはまとめると「中強度の運動を週に2日以上、一回30分以上」ということになります。また高血圧者は、運動の効果が表れやすいこともわかってきたという。原因はわからないという「高血圧」。とりあえず私たちができる予防・改善法は体を適切に動かすということになるのでしょうか。
これほど日常でもっとも高頻度に見られる疾患といえる高血圧ですが、その大部分を占める「本態性(ほんたいせい)高血圧」は、その原因が実ははっきりしていないといいます。現在、もし原因を説明するとしたら、ひとつは遺伝的要素(因子)でありもうひとつは生活環境因子だといいます。遺伝的要素とは神経系や、腎臓、血管系などが正常でなくあり、血圧調整がうまくいかなくなるということだといいます。生活環境因子とは、暮らしのなかで、食塩の過剰摂取、喫煙、アルコール、運動不足、ストレスなどが発症に寄与しているという考え方です。これらふたつはどちらも重要な因子であり、結論としては、いわゆる「生活習慣病」の仲間ということになっています。
この加齢にともなう血圧上昇への対策として大きな注目があつまっているのは「運動療法」です。
アメリカの心臓病学会が18歳以上の健康な成人5223人について、精密なデータ分析を行なったところ、有酸素運動やレジスタンス運動による「降圧効果」が明白になりました(2013年発表)。
その要点はおよそ以下のようとされています。
*運動頻度は週2日でも効果が表れる
*また一回の運動時間は30分未満では効果がなく30分から45分の間がのぞましい
*運動強度は中強度が一番効果が表れる。低強度では効果が表れない。
これらはまとめると「中強度の運動を週に2日以上、一回30分以上」ということになります。また高血圧者は、運動の効果が表れやすいこともわかってきたという。原因はわからないという「高血圧」。とりあえず私たちができる予防・改善法は体を適切に動かすということになるのでしょうか。
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