2017年6月20日火曜日

二酸化炭素を逆循環!人工光合成の技術に人類の期待

 海洋に棲息する海藻類、植物性プランクトン、そして地上の植物は、二酸化炭素と水を原料として、太陽光をエネルギー源として有機物を生産し、酸素を「廃棄物」として排出するという「奇跡のシステム」を30憶年に渡って稼働させてきました。地球大気に酸素が大量に含まれているのは、光合成を行なう小さな生きものたちがずっと酸素を吐き出していたからとされています。
 一方人類はこれまで、木材からはじまり、石炭、石油など化石燃料へとあらゆるものを燃やしてエネルギーを取り出しその結果、大気中に二酸化炭素を大量に排出してきました。いまこれを逆にギアチェンジするともいうべき新技術が登場しつつあります。植物が行なっている、水と二酸化炭素を材料とし、有機物と酸素を生産するという「人工光合成」の技術です。
 植物は、最初に水を分解して水素を作り、それと二酸化炭素を反応させて有機物を作っていることがつきとめられました(驚くべきことにこれは比較的最近分かった事実です)。これを技術で再現できると考え、いま世界中で精力的な研究開発が進められています。多くは反応を効率的にする触媒の開発です。大気中の窒素を固定する化学反応以来、あるいはそれ以上の技術革新と言える二酸化炭素から有機物を生産するという新技術は、はたして確立できるのかいま世界中が注目していると言っていいでしょう。
 前回述べた「オオシャコガイ」の体に共生している「褐藻類」は、光合成で有機物を作り出しています。物質の収支で見ると、一個の個体が、水中から二酸化炭素を取り込みそして呼吸でそれを排出するという特殊な生き物といえます。人類もこれに倣い、一方的な二酸化炭素の排出の時代から二酸化炭素を逆循環させ活用する時代へと進んでほしいものです。

光合成 に対する画像結果

2017年6月6日火曜日

失われる貴重な海の生物種~南シナ海のオオシャコガイを救え!~

 地球上で最大の貝である「オオシャコガイ」。泳いでいる人が足をとられて溺れたといった逸話が多く語られてきました。成長した個体は、体長が2メートル近く、重さは200キロを超えるといいます。ニ南太平洋から、インド洋にかけた暖かな海域に棲息しています。貝柱は食用となり、殻は生活道具に利用されたりしますが、真珠を採取できることもあるといいます。
 海洋に進出する中国が、南シナ海での領有権争いの末、人工島などの建設でで岩礁の乱開発が進行していますが、環境破壊と生態系への取り返しのつかない破壊行為として憂慮する声が上がっています。米・マイアミ大学の海洋生物学者のジョン・マクナマス博士らはこのままいくと何百という生物種が短期間のうちに絶滅することになると、いま警告を発しています。
 スプラトリー諸島での軍事施設(人工島)の建設だけでなく、中国漁師による大規模な密猟も生物に破滅的な影響を及ぼしているといいます。希少なサンゴやオオシャコガイの密猟です。オオシャコガイ漁は岩礁に深く身を沈めるように棲息している生物ですので、これを採取するには岩礁を掘り返しすことになります。つまり岩礁は大きく破壊されるのです。海の中では、岩礁は特別な生態系を生み出す場所で、小さな生物、藻類、また魚の稚魚などがここをは住処としています。こうした多彩な岩礁性動物がを失われると、やがて生態系システムのメカニズムで、これを餌としている大型魚も減少していくのです。
 この巨大貝には大きく育つことが可能となる秘密があります。カラフルな貝の体には細胞内に数十億の藻類(褐虫藻)が共生しており、この藻類が光合成で生み出す糖やタンパク質を貝に供給してくれます。こうして労せずに、貝は大きく育つことが可能となったのです。別名「光を食べる貝」と呼ばれる訳はそこにあります。まことに不思議な生き物と言えるのではないでしょうか。もちろん他にプランクトンもロートで濾して食べます。こうして栄養の乏しい海域でも、何億年も彼らはたくましく生き延びてきました。いままた人間の身勝手な行動が、数億年にわたって命を紡いできた貴重な海の生物種にさえ手をかけて、彼らを絶滅に縁に追いやろうとしています。               
    写真:ナショナルジオグラフィックス 撮影:George Grall



2017年6月1日木曜日

適切な肉・乳製品・コーヒーの摂取は健康長寿への道

 肉や乳製品を多くとる欧米型と呼ばれる食事を好む方には、朗報かもしれませんが国立がんセンターが主導した大規模な国民追跡調査で何と、「欧米型の食事パターン」を繰り返していた方は、がん死亡、循環器疾患、心疾患(脳血管疾患もやや低下の傾向)、そして全死亡でもそのリスクが低下していた(およそ1割程度)といいます。
 なにしろ全国8万人を22年間も追いかけた調査ですので、データの信頼度は各段に高いものと考えられえます。この結果をどう分析するかは今後まだまだ議論を呼ぶものと思いますが、調査を行った国立国際医療研究センターの溝上疫学・予防研究部長らによると欧米型の食事では、塩分摂取が比較的少なく、たんぱく源が適切に摂られている(欧米諸国民ほど肉は大量に食べていないこと)、コーヒーなどもプラスの効果があったからと考えています。肉や乳製品の健康との関係を考えさせられる結果となりました。
 では私たちはこれからどういう食事を摂っていくべきなのでしょうか、研究者には健康長寿の視点で、肉や乳製品の摂取のめやすなどをわかりやすく示してほしいものです。高齢者のアルブミン値が低下してる傾向などを考えるときどういう風に肉を食べ、乳製品をどういう風にうまく取り入れるかなども管理栄養士ともども国民に提示してほしい。
 こうした生の情報で人々が混乱し、間違った判断をしないためにはそうしたフォローが必要かと思います。

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