2016年11月25日金曜日

宇宙は「鉄」で満たされている・・なぜだ?

地球は「鉄の惑星」だといいます。誕生したころは、ドロドロに解けた数千度の物体だった地球は、その後、物質の移動や分離がはじまり、現在のような核、マントル、地殻という三層の構造を持つ星に進化していきました。現在の地球の核には鉄とニッケルが大量に存在しています。マントルや地殻にも鉄は普遍的に存在します。地球全体で見てみても、その総重量のおよそ34パーセントが鉄だということになります。この鉄の存在の特殊性は、実は地球だけに限った話ではなく、宇宙全体で見渡してみても、元素としての「鉄」の存在は非常に際立っていて存在量は特異的に大きいことがわかっています。50億年ほど前、宇宙にガス状の雲が誕生し(これにはダークマターが関与しているという噂があります)、「核融合反応」により水素やヘリウム以外の元素が次々に誕生しました。陽子と中性子の結合が進んだわ、けですが酸素、炭素、ケイ素、マグネシウムと進み「鉄」で終了したのです。これには核融合で原子の総重量は増えますが、熱の放出で陽子や中性子の「重さ」が徐々に軽くなるという「質量欠損」のメカニズムが働いています。原子核を構成する「陽子」と「中性子」は、鉄が最も軽くそれだけ安定しているので鉄に物資が変化して反応が終わったとされています。鉄では陽子、中性子が軽いため結合が強く働くとされ、他の元素にはない安定が保たれているのです。これは第一世代の元素誕生とも呼ばれいますが、原子番号で鉄より大きなものは、あの「超新星爆発」でしか生じない元素なのです。例えばスズ、銀、金、モリブデン、ウラン、セシウムなど重い元素は、宇宙のどこかで起こった超新星爆発で運ばれていま地球の存在していると考えられています。これだけですごいロマンのあるお話ですね。鉄が元素として特別な存在であることは、宇宙や生物の進化を考えるときにも大切な視点と考えられています。



 

2016年11月10日木曜日

進化論で説明できない生物の擬態・・ツノゼミ類

 中南米に棲息する昆虫、ユカタンビワハゴロモという「ツノゼミ」をご存じでしょうか。かつて「生命潮流」(ライアル・ワトソン1979年)という著書とテレビ番組でも紹介されたことがあります。ツノゼミ類はカメムシ目に属する昆虫で、世界で3200種、日本でも16種が記録されているというほど何処にでもいるような昆虫の仲間ですが、熱帯地域でその容姿は高度に進化し、不思議な擬態の名手として知られています。昆虫の擬態には眼玉模様や枯れ葉に似せた姿に化けるなどが知られていますが、このビワハゴロモを代表とする、ツノゼミの擬態は特別です。この頭の突起部分がなぜこのような形状になっているのか、機能や効能はまったくわかっていませんが、
                                                                                                    ユカタンビワハゴロモ
   一見して驚くのはどうやら、天敵である鳥たちが嫌う「ワニ」の姿をしているようにも見えるところです。偶然にしてもこの突起部はものすごくよく出来ていて、ワニの眼と大きな口に見える部分には、歯もならんでいます。いったいこのツノゼミは誰にそれを教えてもらったのでしょうか。もしこれがワニの擬態だとすればそれはダーウィン進化論を揺るがすような事実なので、現代の生物学では合理的な説明ができません。少しずつ変異を重ねて、生きるのに有利な種が生き残ったという淘汰説では、こうした偶然を説明することは出来ないのです。もし説明するとしたら、小鳥たちが嫌った形状の昆虫が生き残ったとしか説明できません。偶然が積み重なったという解釈でしょうか。
 野鳥たちは、きっとこの姿を見て襲う気力が失せてしまうものと思われます。このほか突き出した不思議なコブを持つ形状の角のツノゼミもいて、熱帯域のツノゼミはもはや何を擬態しているかもわからないくらい高度化し、キテレツな姿をしているのです。
危険を感じると、急に体を反り返し、ヘビの頭そっくりに変身する幼虫アオムシもいます。それはみごとにへびそっくりに見えます。これも天敵の小鳥たちが、ヘビを嫌うということを知っていたのでしょうか。誰がそれを教えたのでしょうか。偶然の産物とするにはあまりにもよく出来たお話です。
私たちの生物への理解がまだまだ未熟な部分があるといことなのでしょうか。大自然のしくみはまだ解明されていないことがいっぱいありそうです。
 



                                          

2016年11月7日月曜日

木星の水衛星には生命が存在するという期待が高まった

地球を水惑星と呼びますが、この太陽系に「水衛星」がおそらくいくつか?あることがわかってきました。例えばそれは木星の惑星で、月よりやや小さな天体「エウロパ」です。木星には、ガリレオが見つけたガリレオ惑星と呼ばれる惑星があります。イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。実際は木星には67個もの惑星があります。木星の第2衛星であるエウロパは、NASAの探査機でその姿がかなり詳しく撮影されています。その姿はどの他の衛星とも違うものでした。不思議なのは、クレーターらしきものが見当たらないことと、表面に土色の線がいっぱい走っていることです。これまでの研究者の議論からは、おそらく数キロに及ぶ氷=水の氷がその表面を覆っており、その下には広大な地下の「海」があるのではということになっています。また宇宙望遠鏡ハッブルの観測では、このエウロパが火山のように何かを噴き出す、間欠泉(プルーム)のような現象を起こしている様子が観察されています。ただしこの現象が本当に水が噴き出したものか、未だ論争があるようですが。エウロパが存在するところは、太陽から遠く離れ、とても温度が低い環境にあり、冷え切った衛星と考えられますが、巨大惑星である木星の引力の影響でエウロパには大きなな力が働くといいます。その力が氷の溝を作ったり、水噴射を引き起こしたりしていると考えられているのです。この間欠泉のような水噴射が本当だとすると、地下の海は、表面を覆う分厚い氷に完全に閉ざされているのではなく、水と凍りはある程度攪拌され、循環もしている可能性があります。さらに最近、湖のような場所も見つかりました。地球とは異なりますが、この太陽系で水が大量にある星があることがほぼ明らかになってきたのです。さてさてそうなると、水が存在し、衛星の内部から熱エネルギーも供給されるとなると、「生命」が存在してもおかしくないというのが宇宙生物学者の見解です。期待をこめた意見でしょうが。地下の海にはクラゲや魚が泳いでいるという想像もあります。NASAでは2020年代に、この水の噴出地域に接近し、物質を採取して生命の痕跡も探ろうという「エウロパ・クリッパー」計画がはじまっています。木星の衛星に生命の営みが見つかれば、はたしてどういうことになるのでしょうか。われわれはどこから来たのか、という問いがその時解かれるのでしょうか。 写真資料:NASA