中南米に棲息する昆虫、ユカタンビワハゴロモという「ツノゼミ」をご存じでしょうか。かつて「生命潮流」(ライアル・ワトソン1979年)という著書とテレビ番組でも紹介されたことがあります。ツノゼミ類はカメムシ目に属する昆虫で、世界で3200種、日本でも16種が記録されているというほど何処にでもいるような昆虫の仲間ですが、熱帯地域でその容姿は高度に進化し、不思議な擬態の名手として知られています。昆虫の擬態には眼玉模様や枯れ葉に似せた姿に化けるなどが知られていますが、このビワハゴロモを代表とする、ツノゼミの擬態は特別です。この頭の突起部分がなぜこのような形状になっているのか、機能や効能はまったくわかっていませんが、

一見して驚くのはどうやら、天敵である鳥たちが嫌う「ワニ」の姿をしているようにも見えるところです。偶然にしてもこの突起部はものすごくよく出来ていて、ワニの眼と大きな口に見える部分には、歯もならんでいます。いったいこのツノゼミは誰にそれを教えてもらったのでしょうか。もしこれがワニの擬態だとすればそれはダーウィン進化論を揺るがすような事実なので、現代の生物学では合理的な説明ができません。少しずつ変異を重ねて、生きるのに有利な種が生き残ったという淘汰説では、こうした偶然を説明することは出来ないのです。もし説明するとしたら、小鳥たちが嫌った形状の昆虫が生き残ったとしか説明できません。偶然が積み重なったという解釈でしょうか。
野鳥たちは、きっとこの姿を見て襲う気力が失せてしまうものと思われます。このほか突き出した不思議なコブを持つ形状の角のツノゼミもいて、熱帯域のツノゼミはもはや何を擬態しているかもわからないくらい高度化し、キテレツな姿をしているのです。
危険を感じると、急に体を反り返し、ヘビの頭そっくりに変身する幼虫アオムシもいます。それはみごとにへびそっくりに見えます。これも天敵の小鳥たちが、ヘビを嫌うということを知っていたのでしょうか。誰がそれを教えたのでしょうか。偶然の産物とするにはあまりにもよく出来たお話です。
私たちの生物への理解がまだまだ未熟な部分があるといことなのでしょうか。大自然のしくみはまだ解明されていないことがいっぱいありそうです。
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