高齢社会において大切なテーマとして、はたして老化とは何か、あるいは加齢によりヒトのからだに何が起こっているのかという課題に関心が集まっています。その解明のひとつとして「フレイル」という概念と定義が生まれてきました。この概念は、日本語で言うとこれまで「虚弱」と呼ばれてきたものだと言われていますが、体力の低下や、筋肉の衰弱、反射神経の低下などからだの総合的な機能低下を考えようとするものと理解できます。老化は足腰からとか、口腔からとか議論されていますがもうひとつ忘れてはならない部位に「のど」があります。高齢者の衰弱が進む理由に「嚥下障害」が指摘されています。脳卒中などが原因でこの障害が発症しますが、加齢による嚥下力の機能低下は深刻で今後の重要なテーマになると予想されています。医療の現場では嚥下障害はコモンディジーズ、つまりだれでも発症する可能性のある症状とされています。のどでごっくんとやってみるとわかるのですが、食べ物や水を飲み込むとき「のどぼとけ」がぐっと上に上がり、ようやく飲み込めることがわかります。のどは、呼吸や発声する場所でもあり、食道につながる部位でもあるというように何役もこなす非常に大切なところですが、普段見えないのでそれほど意識することはありません。のどの働きのメカニズムは非常に繊細で、びっくりするほどの作業を行っています。つまり空気を入れたり、食塊を入れたりするためのきわどい調整を行っています。のどの反射神経や、筋肉が衰えてくると何がおこるのか、それは想像を超えて虚弱への道となるのです。
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