2019年3月13日水曜日

戦争はダメです、とまるで宗教のように唱えるだけでは平和は来ない!

 平和教育、平和学習など、先の大戦の反省から戦争はやってはいけない、平和が大事、平和・平和と念仏のように唱えてきた日本社会。しかしいま冷静に東アジアや世界を見渡すとそこは善意が覆うようなところではなく、反感と憎悪、民族的な対立など争いの「種」がいっぱいあることがわかります。
 真の平和は精神論で訪れるものではなく、もう少し外交や国の戦略があってはじめて勝ち取ることができるということをそろそろ日本人も考える時期が来ているではないでしょうか。たとえばドイツが周辺国にやってきたことをもっと学ぶこと。ドイツは被害者であるユダヤの方々のお名前をプレートにして街に永久に保存する事業などを行ってきたと聞きます。またスウェーデンのように核戦争を防ぐために核戦略の研究機関を運営し、世界に情報を発信してきています。日本にも世界の平和を構築するためのシンクタンク機関「平和戦略外交研究機構」のようなものがほしい。それは世界の対立の「種」を根本から考え、経済、文化などの交流を通じて戦争を予防する戦略と外交を考える非政府機関である。それこそ、成熟した民主的社会を東アジアで確立した日本の今後やるべきことではないでしょうか。

2017年11月22日水曜日

ごっくん出来ないとあなたの命が奪われる!~嚥下障害に注目~

 がん、心疾患、脳卒中(脳こうそく、クモ膜下出血など)というのが長らく日本人の3大死因でしたが、近年脳卒中を抜いて「肺炎」が第3位となって(2011年)注目されています。肺炎の増加はいまも続いており、毎年11万人の日本人の命を奪っていると言わられいます。この背景にあるのは、後期高齢者の増加とそれに伴う「誤嚥性肺炎」患者の急増が疑われます。
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誤嚥性とは、本来喉から食道に行くべき食べ物や唾液が、誤って気道に入り込み、食べ物や唾液に含まれている菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌など)あるいはウイルスが肺に至り炎症を起こす病気です。なぜ誤嚥を起こすようになるのか、実は様々な要因があり未解明なところも多いのですが、呼吸器科、耳鼻咽喉科、歯科、リハビリ栄養学など関連する多様な専門家が強い危機意識をもって予防や治療への取り組みがはじまっています。そもそも飲み込むという動作は、想像以上に複雑で喉に空気が入ってくるときは気管は開いていますが、一旦固体や液体が入ってくると喉の筋肉や神経が連動して瞬時に気管の蓋(軟口蓋)が閉じられます。この動作は「嚥下反射」と呼ばれるものですが、加齢とともにこの反射は弱く、あるいは鈍くなり閉じるのが遅れるようになることがあります。誤嚥はこうしたことが原因で起こりますが、食事中にむせやすくなってきたなどは要注意といわれています。こうした「喉の虚弱化」が、命を奪う病気のはじまりとなるのです。誰にでもやがて訪れる「嚥下機能」の低下、いまあらためて目を向ける必要がありそうです。

2017年11月10日金曜日

のどが衰えるとフレイルが加速される!?

高齢社会において大切なテーマとして、はたして老化とは何か、あるいは加齢によりヒトのからだに何が起こっているのかという課題に関心が集まっています。その解明のひとつとして「フレイル」という概念と定義が生まれてきました。この概念は、日本語で言うとこれまで「虚弱」と呼ばれてきたものだと言われていますが、体力の低下や、筋肉の衰弱、反射神経の低下などからだの総合的な機能低下を考えようとするものと理解できます。老化は足腰からとか、口腔からとか議論されていますがもうひとつ忘れてはならない部位に「のど」があります。高齢者の衰弱が進む理由に「嚥下障害」が指摘されています。脳卒中などが原因でこの障害が発症しますが、加齢による嚥下力の機能低下は深刻で今後の重要なテーマになると予想されています。医療の現場では嚥下障害はコモンディジーズ、つまりだれでも発症する可能性のある症状とされています。のどでごっくんとやってみるとわかるのですが、食べ物や水を飲み込むとき「のどぼとけ」がぐっと上に上がり、ようやく飲み込めることがわかります。のどは、呼吸や発声する場所でもあり、食道につながる部位でもあるというように何役もこなす非常に大切なところですが、普段見えないのでそれほど意識することはありません。のどの働きのメカニズムは非常に繊細で、びっくりするほどの作業を行っています。つまり空気を入れたり、食塊を入れたりするためのきわどい調整を行っています。のどの反射神経や、筋肉が衰えてくると何がおこるのか、それは想像を超えて虚弱への道となるのです。



2017年8月22日火曜日

光を吸収も放出もしない!謎の物質「ダークマター」とは?

 宇宙に関する知識や考え方が歴史的な大展開をみせています。わくわくする科学分野を挙げるとすれば、それはまちがいなく天文学や宇宙論と言えるでしょう。
 私たちが知っている素粒子、原子ではない“物質” らしきものとして「ダークマター」あるいは「ダークマター粒子」が大宇宙に存在することは、すでに決定的となっています。遠く離れた私たちの天の川銀河とは異なる銀河。そのなかでも渦巻銀河の精緻な観測から、ある事実が浮かび上がってきました。銀河系は何億年という悠久の時間をかけて公転していますが、銀河の中心からどれだけ離れた恒星も同じ公転速度であることがわかってきました。この銀河の回転速度で飛び出そうとする力を留めているのは、銀河全体の総重力と考えられますが、恒星の総量を合わせても計算上これを引き留める物質量にはならないといいます。そこには何か恒星が飛び出すのをつなぎとめる「引力」が必要となりますが、この引力を生み出しているものこそ見えない物質「ダークマター」だとされました。
 また銀河系がレンズとなって光を曲げる現象でも、このダークマターを計算にいれないとつじつまがあわない光の偏向があるといいます。そしてふたつの銀河が衝突し、合体したと思われる「弾丸銀河団」ではこの不思議な物質は、相互に影響することなく銀河団をくぐり抜けて、まるでミッキーマウスの耳のような球状の構造を作っているとされ、だれもがこの「見えない物質」がどうやら銀河の構造を形作っているようだと信じるようになりました。電荷をもたず、光を吸収も放出もしないというダークマター粒子、それはいったい何者なのでしょうか。研究者たちは、このダークマターは、銀河系にとりつくように大規模の構造体を形成しており、銀河系の構造はどうやらダークマターが決めていると考えています。
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2017年7月26日水曜日

赤い太陽系の惑星に酸素を探す~われわれはもう孤独ではない?!~

 地球サイズの惑星が7つもあり、その内の3つは水が液体で存在できると考えられている、水瓶座の方向へ40光年先(とても近い!)にある赤い太陽系(赤色矮星と惑星群)「トラピストー1」にいま大きな関心が集まっています。
 セブンシスターズ(7姉妹)と呼ばれている新たに見つかった「系外惑星群」は、大きさがどれも地球サイズで、しかもどれも「岩石惑星」であることから、これまで人類が長らく夢見てきた、この宇宙のどこかにある、もうひとつの地球という夢想にひとつの答えを出すものとなる。SFのおとぎ話であったこんな地球型惑星が、科学の話題として議論される時代になったとは、誰が予想していたでしょうか。
 はたしてこれら惑星群には、大気はあるのでしょうか。もしあるとすればその組成はどうなっているのでしょう?大気に生命の存在を示す「酸素」ははたして存在しているのでしょうか?水は存在しているのでしょうか。興味の尽きない研究課題が次々と解明を待っており、いま世界中の天文台では、熱い大気観測合戦が繰り広げられているとのことです。
 しかしもし、酸素が大量に存在することが観測でき、水も液体であるというという答えが出てきたとき、この科学的事実の重さは、計り知れないものがあり、衝撃的といっていいのではないでしょうか。「生命」とは何か、われわれはどこから来てどこに行くのか。画家ポール・ゴーギャンも問いかけた、宇宙に中での命の意味を再びわれわれに突きつけることとなるでしょう。地球型の生命がこの宇宙には、どこでも存在する可能性がもし明確となったとき、人類の自然観や宗教観など根底からひっくり返される可能性があります。
 わくわくするのは、この系外惑星群の組成解明は科学的に可能であり、実にすぐそこに迫っているということです。小さな地球で、たったひとつの生命、DNA型の生命しか知らなかった私たちですが、大宇宙がなぜ生命を生んだのか、わたしたちの存在とは何なのか、その答えのひとつがいま解き明かされようとしているのでです。











2017年6月20日火曜日

二酸化炭素を逆循環!人工光合成の技術に人類の期待

 海洋に棲息する海藻類、植物性プランクトン、そして地上の植物は、二酸化炭素と水を原料として、太陽光をエネルギー源として有機物を生産し、酸素を「廃棄物」として排出するという「奇跡のシステム」を30憶年に渡って稼働させてきました。地球大気に酸素が大量に含まれているのは、光合成を行なう小さな生きものたちがずっと酸素を吐き出していたからとされています。
 一方人類はこれまで、木材からはじまり、石炭、石油など化石燃料へとあらゆるものを燃やしてエネルギーを取り出しその結果、大気中に二酸化炭素を大量に排出してきました。いまこれを逆にギアチェンジするともいうべき新技術が登場しつつあります。植物が行なっている、水と二酸化炭素を材料とし、有機物と酸素を生産するという「人工光合成」の技術です。
 植物は、最初に水を分解して水素を作り、それと二酸化炭素を反応させて有機物を作っていることがつきとめられました(驚くべきことにこれは比較的最近分かった事実です)。これを技術で再現できると考え、いま世界中で精力的な研究開発が進められています。多くは反応を効率的にする触媒の開発です。大気中の窒素を固定する化学反応以来、あるいはそれ以上の技術革新と言える二酸化炭素から有機物を生産するという新技術は、はたして確立できるのかいま世界中が注目していると言っていいでしょう。
 前回述べた「オオシャコガイ」の体に共生している「褐藻類」は、光合成で有機物を作り出しています。物質の収支で見ると、一個の個体が、水中から二酸化炭素を取り込みそして呼吸でそれを排出するという特殊な生き物といえます。人類もこれに倣い、一方的な二酸化炭素の排出の時代から二酸化炭素を逆循環させ活用する時代へと進んでほしいものです。

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2017年6月6日火曜日

失われる貴重な海の生物種~南シナ海のオオシャコガイを救え!~

 地球上で最大の貝である「オオシャコガイ」。泳いでいる人が足をとられて溺れたといった逸話が多く語られてきました。成長した個体は、体長が2メートル近く、重さは200キロを超えるといいます。ニ南太平洋から、インド洋にかけた暖かな海域に棲息しています。貝柱は食用となり、殻は生活道具に利用されたりしますが、真珠を採取できることもあるといいます。
 海洋に進出する中国が、南シナ海での領有権争いの末、人工島などの建設でで岩礁の乱開発が進行していますが、環境破壊と生態系への取り返しのつかない破壊行為として憂慮する声が上がっています。米・マイアミ大学の海洋生物学者のジョン・マクナマス博士らはこのままいくと何百という生物種が短期間のうちに絶滅することになると、いま警告を発しています。
 スプラトリー諸島での軍事施設(人工島)の建設だけでなく、中国漁師による大規模な密猟も生物に破滅的な影響を及ぼしているといいます。希少なサンゴやオオシャコガイの密猟です。オオシャコガイ漁は岩礁に深く身を沈めるように棲息している生物ですので、これを採取するには岩礁を掘り返しすことになります。つまり岩礁は大きく破壊されるのです。海の中では、岩礁は特別な生態系を生み出す場所で、小さな生物、藻類、また魚の稚魚などがここをは住処としています。こうした多彩な岩礁性動物がを失われると、やがて生態系システムのメカニズムで、これを餌としている大型魚も減少していくのです。
 この巨大貝には大きく育つことが可能となる秘密があります。カラフルな貝の体には細胞内に数十億の藻類(褐虫藻)が共生しており、この藻類が光合成で生み出す糖やタンパク質を貝に供給してくれます。こうして労せずに、貝は大きく育つことが可能となったのです。別名「光を食べる貝」と呼ばれる訳はそこにあります。まことに不思議な生き物と言えるのではないでしょうか。もちろん他にプランクトンもロートで濾して食べます。こうして栄養の乏しい海域でも、何億年も彼らはたくましく生き延びてきました。いままた人間の身勝手な行動が、数億年にわたって命を紡いできた貴重な海の生物種にさえ手をかけて、彼らを絶滅に縁に追いやろうとしています。               
    写真:ナショナルジオグラフィックス 撮影:George Grall