2015年9月30日水曜日

~牛乳は自然の摂理に反した食材なのか~

哺乳類の仲間で離乳後、成長してからミルクを飲むのは人類だけだといいいます。人類以外のすべての哺乳類では、離乳後に「ラクト―ス」の消化能力を失うのです。牛のミルクは、仔牛のものであって、含まれる有効成分の、タンパク質、生理活性物質、脂質などそのどれをとっても、当然親牛が牛の遺伝子で作った仔牛用の栄養溶液といえるでしょう。そう考えると仔牛ではない生き物の人類がこれをほぼ生に近い状態で飲み続けているのは不自然さも感じます。こうした論拠から、ミルクはとらないほうがいいと主張し続ける学者たちがいます。最近の研究では、乳製品の消化能力といえるラクトース分解酵素を成人になってからも持続している民族は、地球上で北ヨーロッパやアフリカ、中東の一部などかなり限られた地域の人々であることもわかってきました。つまりこれまで考えられていたほど、乳製品の摂取に対して人類は十分に適応しているわけではないのです。ミルクと乳製品は別に分けて考えるべきかもしれませんが、ではこれらは本当に「不自然な食材」なのでしょうか。ミルクには栄養を補うほかに、カルシウムの補充、そして水分補給という重要なの働きがあると指摘されています。特に衛生的な淡水が得られないようなところでは、水分補給の意義が大きかったと指摘する研究者もいます。しかしモンゴル草原のような乾燥地帯でも人々は決して生のミルクは飲みません。長年の経験でそれは衛生的ではないと考えられているのです。
スーパーで普通に売られているミルクやチーズ、そこにも爆発的に増殖してきた人類のまことに勝手な都合と歴史が見えてきます。食材は栄養や経済的側面だけでなく、健康維持や医学の目線でももっともっと論じられるべきなのかもしれません。



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