~地球の生き物を陰で操る「寄生虫」の不気味ですばらしいサバイバル術~
「寄生虫」と呼ばれるちょっと気味の悪い地球上の生物が、実はものすごい謎の力を持っており、多くの生き物たちを操っていることが、いま大きな話題になっています。NHKのEテレ「スーパープレゼンテーション」でも英国のサイエンスライターが講演し話題となりました。自殺するコオロギという現象があることをご存知でしょうか。ハリガネムシという寄生虫がいますが、コオロギはこの幼虫を食べます。そしてコオロギの体内でこの寄生虫は、育ち成虫となるのですが、ここからが自然の大いなる謎。この親となったハリガネムシは水中でないと交尾と産卵を行うことができません。そこでコオロギの脳に働きかけて、川や水場にダイビングして自殺するようにしむけるのです。水中に飛び込み死んだコオロギの死体から、このハリガネムシは姿を現し交尾へと向かいます。まことに不気味なライフサイクルですが、いったい誰がこんなストーリーを考えたのかとつい言いたくなるほど巧妙なしくみではありませんか。こうした寄生虫のやりかたは、他にも次々とみつかっており、なかでもネズミに寄生する単細胞生物、トキソプラズマの話はぞーっとします。トキソプラズマはマラリア原虫の仲間で、地球上で最も感染拡大に成功した病原性原虫ともいわれています。大きさは3×6ミクロンという原生生物です。もちろん脳とか神経系など持たない原始的な生物です。この原生生物もネコの体内だけで生殖が可能という悲しい宿命を背負っています。他の哺乳類にも寄生しますが、ネズミに寄生したとき、ネズミの神経活動を激変させます。ネコの尿の匂いを普通は恐れるののが正常ですが、感染したネズミはネコさん食べてくださいと逆にネコに近づくようになるのです。なぜこうした行動に変化するのか、いま分子レベルで解明が進んでいます。このトキソプラズマはある計算によると30億人もの人類が感染しているといわれており、人の行動への影響も実は真剣に研究されているのです。
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