~ちょっとむせただけ!そう甘く考えていると大変なことに・・・~
人の老化はどこからはじまるのでしょう。血管から、足腰から、あるいは脳からでしょうか。どれも正しい指摘かもしれません。しかし忘れている大切な部位がもうひとつあります。それは、「口周り」の機能です。「口腔(こうくう)」とよばれる、歯や舌など飲みこむまでのお口周りの大切さは日々見直されてきました。例えば、高齢者では肺炎などになるのは口内の細菌が肺に入って起こることがわかってきたり、歯周病菌が糖尿病などの全身病と深い関係があることなども指摘されています。いまでは口腔リテラシーが話題となっていて、お口への意識が高く、口腔ケアが出来ている人は長生きするという報告もあります。さて老化です。口から老化、虚弱への道のりがはじまるのではという考え方があります。例えば、歯周病となって痛くてかめないという事態が起こるとしましょう。この方は、やわらかいものを選んで食べるようになり「低栄養」を引き起こします。心の健康状態を悪くするということも起こってしまいます。そしてなにより、かまなくなるとかむための筋肉「側頭筋」や「咬筋」が徐々に委縮しはじめ、さらにかむ力が衰えていきます。筋肉はやっかいです、つまり使わないとすぐ委縮していくものなのです。骨も同じですが、適度な刺激がないと筋肉量や筋力は維持できません。さらには食べ物を飲みこむ機能が衰えていく可能性があります。食事やお茶を飲むときにむせることがありますが、こうしたちょっとした「むせる」という現象も飲みこむための筋肉や、のどの弁などの協調運動がうまくいかない徴候として注目されているのです。むせる回数が増えてきたという人は、ひょっとするとお口の老化、あるいは全身の老化の入り口に立っているのかしれないのです。対策としては考えられているのは、口腔筋肉のトレーニングとか、のどの弁の動きをよくするという破裂音の発声法などあります。そしていまこの研究分野は新たな概念「オーラルフレイル(お口周りの衰弱)」という言葉が提唱されるようになりました。 (参考:大渕修一著 健康長寿の延ばし方)
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