スーパー高齢者のからだの秘密がわかってきたぞ!
自分がそうなりたいかは別として、100歳以上長生きする人は増え続けています。現在5万人をはるかに超え、50年後にはなんと50万人以上になるのではという推計もあります。日本ではこの100歳を超えた長寿者はめでたく「百寿者」と呼ばれており、英語でも「センテナリアン」という敬称があります。こうしたスーパー老人を対象にして、長寿の謎を探る医学研究が世界中で盛んに続けられています。慶應義塾大学医学部百寿総合研究センターの取り組みもその一つですが、同センターの新井康道さんらの研究でおよそ次のような百寿者像がわかってきました。
まず100歳を超えて元気なかたの特徴は、圧倒的に元気で見た目が若々しいという特徴があるといいます。また「糖尿病」や「動脈硬化」の症状が少なく、食欲は旺盛で常に何かに熱心に取り組むという生活態度が見られるとのことです。地域で比較すると沖縄や高知など温暖な土地が長寿を育んでいると分析されています。性格の傾向は、男女とも「誠実なこと」があげられ、男性ではものを集める凝り性タイプ、女性では外交的で面倒見がよく、しかも新しものが好きとい特徴がわかっています。食事では乳製品や果物、お菓子など甘いものをよく摂っているという意外な特徴もあるようです。
では皆病気知らずかといえば、そうでもなくほぼ全員何かしらの病気を持っていて、高血圧、骨折、白内障、心臓病の順に罹患していています(60%~30%程度)。また体形は肥満でも痩せでもない人が多いと報告されています。医学的事実として最も特徴的で特筆すべきなのは、糖尿病患者が極端に少ないこと。東京都内で母数300名での調査ですが、百寿者の糖尿病の罹患率を調べたところ、なんと6%という低さだったといいます。70代の同病罹患率では通常20%ほどですので百寿者は糖尿病を持っていないことが大きな特徴と分析されています。さらに興味深いのは「アディポネクチン」という脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの値です。アディポネクチンは糖尿病や動脈硬化あるいはがんなどの病気を体内で防御してくれることが知られていますが、百寿者のアディポネクチンの血中濃度は、若い年代のおよそ2倍あることがつきとめられました。また遺伝子(テロメア長)や炎症マーカーによる分析も進んでいて、百寿の医学から、長寿のメカニズムの全貌が明らかになる日もそう遠くはないという感がします。
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