2016年11月7日月曜日

木星の水衛星には生命が存在するという期待が高まった

地球を水惑星と呼びますが、この太陽系に「水衛星」がおそらくいくつか?あることがわかってきました。例えばそれは木星の惑星で、月よりやや小さな天体「エウロパ」です。木星には、ガリレオが見つけたガリレオ惑星と呼ばれる惑星があります。イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストです。実際は木星には67個もの惑星があります。木星の第2衛星であるエウロパは、NASAの探査機でその姿がかなり詳しく撮影されています。その姿はどの他の衛星とも違うものでした。不思議なのは、クレーターらしきものが見当たらないことと、表面に土色の線がいっぱい走っていることです。これまでの研究者の議論からは、おそらく数キロに及ぶ氷=水の氷がその表面を覆っており、その下には広大な地下の「海」があるのではということになっています。また宇宙望遠鏡ハッブルの観測では、このエウロパが火山のように何かを噴き出す、間欠泉(プルーム)のような現象を起こしている様子が観察されています。ただしこの現象が本当に水が噴き出したものか、未だ論争があるようですが。エウロパが存在するところは、太陽から遠く離れ、とても温度が低い環境にあり、冷え切った衛星と考えられますが、巨大惑星である木星の引力の影響でエウロパには大きなな力が働くといいます。その力が氷の溝を作ったり、水噴射を引き起こしたりしていると考えられているのです。この間欠泉のような水噴射が本当だとすると、地下の海は、表面を覆う分厚い氷に完全に閉ざされているのではなく、水と凍りはある程度攪拌され、循環もしている可能性があります。さらに最近、湖のような場所も見つかりました。地球とは異なりますが、この太陽系で水が大量にある星があることがほぼ明らかになってきたのです。さてさてそうなると、水が存在し、衛星の内部から熱エネルギーも供給されるとなると、「生命」が存在してもおかしくないというのが宇宙生物学者の見解です。期待をこめた意見でしょうが。地下の海にはクラゲや魚が泳いでいるという想像もあります。NASAでは2020年代に、この水の噴出地域に接近し、物質を採取して生命の痕跡も探ろうという「エウロパ・クリッパー」計画がはじまっています。木星の衛星に生命の営みが見つかれば、はたしてどういうことになるのでしょうか。われわれはどこから来たのか、という問いがその時解かれるのでしょうか。 写真資料:NASA

2016年10月30日日曜日

生理的?病的?その現象はどっちなの

 老化を医学、科学で解明することをめざす「老年医学」。これまで一般にはあまり知られていなかった医学の専門分野ですが、ますます注目されるようになっています。老いとは何なのか、加齢とともに心身の変化がどのように起こっていくのか、様々な研究が進んでいます。健康寿命を延ばすために、健やかな老いを迎える社会を築くために、老年医学はますます必要度を増しています。
 例えば自然に体力が衰え、からだの機能も低下していくことを「生理的な老化」と呼びますが、これに多くの場合、高齢者特有の疾病が加わるのでこの「病的な老化」と自然な老化を混同し同一視しやすいということがあります。白髪や皮膚のしみや体重に占める水分量は低下しますが、それといわゆる「脱水現象」とは区別されます。前者は生理的、後者は病的とされます。老眼や難聴は生理的老化で、白内障は病的変化となります。失禁やロコモティブシンドローム、骨粗しょう症、嚥下障害なども「病的」変化の範疇に入るものとされています。このあたりをあまり区別はしていないようです。だれでもが迎える「老化現象」と、誰にでも起こるわけではない「病気」とが区別されていません。老年医学はこうしたことも明らかにしてきました。
 老化を逆方向に戻すのはむつかしとしても、病的な老化は、正しく対処して治す、あるいは改善すべきと思われます。またここに社会的な問題や、精神心理的な課題も加わり、さらに様相は複雑化します。自分に起こっている現象が、どれにあたるのか、そうしたことも教えてくれる窓口も必要です。高齢者の総合機能評価とか老年症候群の症状を正しく伝えるのは誰が対応すべきなのでしょうか。決してマイナス部分だけでなく、明るく対処できるはずの老化や加齢変化。いまこそ老年医学の知恵や知識を人々に還元し、大いに活用すべき時が来たと思います。

参考:「高齢社会の教科書」東京大学高齢社会総合研究機構

2016年10月1日土曜日

人はなぜ高血圧になるかまだ解明されていない~加齢の不思議

加齢とともに多くの人は「高血圧」になります。学会が定めるガイドラインでその数をカウントするとわが国の患者数はおよそ4300万人に上るといいます。高血圧は、自覚することがなく進行し、やがて動脈硬化を引き起こし、脳こうそくや心筋こうそくを発症する、死に至る疾患といえるでしょう。
これほど日常でもっとも高頻度に見られる疾患といえる高血圧ですが、その大部分を占める「本態性(ほんたいせい)高血圧」は、その原因が実ははっきりしていないといいます。現在、もし原因を説明するとしたら、ひとつは遺伝的要素(因子)でありもうひとつは生活環境因子だといいます。遺伝的要素とは神経系や、腎臓、血管系などが正常でなくあり、血圧調整がうまくいかなくなるということだといいます。生活環境因子とは、暮らしのなかで、食塩の過剰摂取、喫煙、アルコール、運動不足、ストレスなどが発症に寄与しているという考え方です。これらふたつはどちらも重要な因子であり、結論としては、いわゆる「生活習慣病」の仲間ということになっています。
この加齢にともなう血圧上昇への対策として大きな注目があつまっているのは「運動療法」です。
アメリカの心臓病学会が18歳以上の健康な成人5223人について、精密なデータ分析を行なったところ、有酸素運動やレジスタンス運動による「降圧効果」が明白になりました(2013年発表)。
その要点はおよそ以下のようとされています。
    *運動頻度は週2日でも効果が表れる
    *また一回の運動時間は30分未満では効果がなく30分から45分の間がのぞましい
    *運動強度は中強度が一番効果が表れる。低強度では効果が表れない。
これらはまとめると「中強度の運動を週に2日以上、一回30分以上」ということになります。また高血圧者は、運動の効果が表れやすいこともわかってきたという。原因はわからないという「高血圧」。とりあえず私たちができる予防・改善法は体を適切に動かすということになるのでしょうか。





2016年9月26日月曜日

世界に発信できるか!フレイル克服をめざす日本の社会 

「フレイル」という老化に対する新たな考え方では、健康長寿の人生を送るためには3つの要素が必要とされています。それは栄養(食・口腔機能)、身体活動(運動など)、そして社会参加(就労、余暇活動、ボランティア)です。そしてこれらはどれが欠けても長寿な人生とはならないというのです。この新しい考え方で、これまでの意見と違っているのは「口腔機能」と「社会参加」ではないでしょうか。口腔機能とは、噛む力や飲みこむ力、また話すことも唾液の供給力なども含む広い能力を指しているようです。歯や口を清潔にしその機能を維持することは、食べる働きだけでなくからだ全身のフレイル予防(虚弱予防)に結びつくこととはこれまでだれも意識することはなかったと思います。極論すれば、口腔ケアは寝たきり予防につながるいうことです。
そしてもうひとつのユニークな考え方は、社会への参加を維持するということです。ひとりでスポーツを続けている高齢者群と、グループに所属して運動をしている高齢者群とではグループで行っている群のほうが、健康寿命が長いという研究があります。社会への参加やつながりが健康とどれほど関係するかはまだまだ解明されてはいませんが、定年で会社から退職したり、社会との接点が薄くなると、急に老ける人がいますが、これはもともと人は社会的な生き物であり、その基本を失ってしまうことがどれだけ大きいことかを示しているのかもしれません。こうした理論から生まれる新たな対策や課題は、まず口腔機能維持への中高齢期からの継続的な介入です。歯や口への関心を高め、みなが対策をとれば、寝たきり高齢者はぐっと減少するかもしれません。歯科医には
もっと頑張ってほしいものです。もうひとつは社会参加の誘導策。つながりが薄い都会生活で、今後どう高齢者が、楽しく生きがいも感じられるような交流組織を作っていくことができるか、これは
一番むつかしい課題のように思います。健康寿命日本一の山梨県では「無尽」とよばれるお金を出し合って旅行や飲み会を行う互助会のような風習があり、それがお年寄りの健康寿命の延伸につながっているのではないかという研究があります。こうした知恵をいまこそ日本全体に広げ、フレイル克服社会を構築していかなければならない段階にいま到達しているのだと思います。そしてこれはいまや高齢社会トップランナーの日本が世界に提言すべきことだといえるでしょう。










2016年9月23日金曜日

あなたにとって「サクセスフル・エイジング」とは?

高齢者の研究ははじめ、加齢によって生じる生理的機能の変化とは何か、あるいは生活習慣病への対策を探りたいという方向で研究がはじまったと考えられます。やがて「長寿革命」で先進国ではある程度の人の長寿が達成できると、長生きできるがただ無為に長生きするだけとか、あるいは寝たきりの老人が増える一方という現実に遭遇することとなります。そして長寿は量から質つまり、
QOL「生活の質」を高めることが最大の課題といわれるようになったきたのです。このことは高齢者のマイナス部分に注目するのではなく、ポジティブな部分にも関心がもたれるようになります。実際現実の社会を見てみると、高齢者の大半を占める「健常な老化群」は、高齢期を迎えても健康で自立していて、また社会にも十分社会に貢献できる能力を有している人々であり、これまでの生産活動から退き、体力気力も減衰し、社会から離脱していくという高齢期のイメージをみごとに覆していると言わざるを得ないのです。日本では、60歳以上に働きたいですかと聞いた質問には71.9%の人が働きたいと答えているといいます。欧米の価値観では、自立と生産が重要とされるといいますが、この自立と生産をもし高齢期でも維持し、生涯継続することができれば、それがすばらしい長寿といえるのではないかという考え方が欧米で広がりました。サクセスフル・エイジングという理念です。サクセスフル・エイジングとはより良く生きること、自分らしく生きることということでしょうか。この考え方にもこれまで多くの議論が闘われてきました。いまは「中年期までに形成した行動パターンや生活、パーソナリティを継続し、なおかつ変化に適応対処している老年期」という定義が、あるべき理想ではないかという「継続理論」が提唱されています。老年期が過去に例がないほど長くなった現在、理想の老い方についての熱い議論はまだまだ続くようです。
参考:「高齢社会の教科書」(東京大学・高齢社会総合研究機構編)




2016年8月23日火曜日

宇宙の95%はまだそれが何かわからない存在!

そもそもそれを考え出すと、もうどうにも思考の泥沼に入っていくのですが、いったい宇宙はなにからできているのか?という質問に、現代宇宙論ではわれわれが知っている「物質」というのは、およそ5%くらいの存在で、実はこの宇宙を占めるものとしてあの「ダークマター」が26%、そしてしそれが何かさえわかっていない「ダークエネルギー」が69%だというのです。つまり最先端の宇宙観測や計算により、宇宙の成り立ちとしてでどうしてもこうした「未知のもの」を想定しないと理屈が合わないというのが、現在の到達点となっています。ダークエネルギーだけでも十分不思議ですが、これはさておき、ダークマターはその存在がほぼ確定的だというのが研究者の一致したところのようで、いまはその正体(何で構成されているのか)や存在(どのように分布しているのか)の解明が精力的に進んでいるようです。まもなく正体はあばかれるのではという期待も高まっているようです。ダークマターは言葉どおり「見えない」存在なのですが、それは原子核の周りに電子がまわるような「物質」と似た構造をもっているのではないか、さらには銀河系にはその構造の沿うような「ダークディスク」が存在し、二重円盤となって銀河構造を支えているはずだ・・、などこれまでの宇宙論では考えられなかった新たな奇想天外ともいうべき理論が生まれつつあるようです。この状況を見て、賢明なる諸兄はおわかりかと思いますが、21世紀の人類の知の到達点は、この宇宙さえ理解できるようになったとおごっていても、実は全体の「5%」の世界しか見てこなかったというこになるということなのです。知の地平線を広げるのが、研究者の喜びであり、営みであると答えておられた日本のノーベル賞受賞者がいましたが、宇宙の探究ははじまったばかりで、まだまだ先は長いということなのでしょうか。
                          


2016年8月17日水曜日

地球で長生きする法・長寿の秘訣はスローライフ?

 米国科学誌サイエンスが伝えるところでは、グルーンランド近海に棲むサメの一種(ニシオンデンザメ)が、400年以上生きている可能性がわかり、これはおそらく脊椎動物では最も長寿なのではないかと報告しています。このサメは大人になると4から5メートルになりますが、冷たい海に適応しているせいか、その成長速度は極端に遅く、年に1センチ未満だろうと考えられています。また泳ぐ速度も遅く、時速で1キロほどの遊泳能力と観察されています。深海でひとりスローライフを送っている魚ということになるのでしょう。生き物が長寿かどうかは、その成長のスピードと大いに関係がある?と考えていいのでしょうか。
 ニュージランドで見つかっている「ムカシトカゲ」というイグワナに似た生き物がいます。トカゲの名がついていますが、現存するトカゲ類とはかなり違った生き物で実に風変わりな特徴を持っています。歯が顎の骨から直接生えているとか頭頂部はに第3の眼という「頭頂眼」を持ち(網膜や水晶体がある)、骨格も2億年以上前の生き物の特徴をとどめているという生きた化石のような輩です。このムカシトカゲも相当なスローライフで、生殖可能な年齢になるには10年から20年、また数年かかって卵を作り、孵化させることができるといったことがわかっています。111歳のオスと80歳を超えるメスが交尾し、オスは初めて親になったという記録があるくらいです。また体内の赤血球にあるヘモグロビンもほかの爬虫類とは異なっていて、低温で働くことができるといいます。現存のトカゲ類なら絶対に生き延びられないような、摂氏5度といった気温でも活動できるといいます。これはおそらく非常に寒い気候の時代に進化適応してきた生き物だからでしょうか。このムカシトカゲも生き物長寿番付には必ず出てきますが、おそらくは100歳は優に超えて生き延びると考えられています。スローライフを求めて?きたサメとムカシトカゲ。どこか共通の生き残り戦術があるようです。                                                  PHOTO:    http://mil-animales.blogspot.jp