2015年11月20日金曜日

~どんな食品でも摂りすぎは体に良くないという教訓か~

スウェーデンの研究チームが最近実施した調査によると、牛乳の摂取量が増えても骨折のリスクは低下しないこと、むしろ逆に死亡率が増加する恐れがあるという結論が導き出されました。(British Medical JournalBMJ 2014)。予測と違って意外な結果が示されることとなりました。調査は、3974歳の女性61000人を20年にわたって観察、また4579歳の男性45000人も11年間の長期の観察を行ったものだといいます。女性のデータが特に顕著で、「股関節部の骨折」を経験する女性の割合は、13杯以上の牛乳を飲む人が1000人中に42人だったのに対して、1日牛乳1杯未満の人では、31人であったといいます。また牛乳摂取量が多い女性は、牛乳摂取量が少ない人と比べて、死亡率が90%も高く、骨折全般では15%多かったというデータが示されています。一方男性では、骨折の割合の牛乳の摂取量での差はほとんどなく、死亡率も摂取量が少ない群の方がやや低い結果ですがその差は比較的小さかったといいます。そしてこの調査は他の食品についても調べられましたが、チーズやヨーグルトという「発酵乳製品」の摂取量との関係では、女性の場合でも、死亡率と骨折頻度の低下につながるという予測を裏切らないプラスの効果が表れたことも同時に報告されました。このことを受けて研究チームは牛乳には糖類たとえばD-ガラクトースなどが多く含まれていますが、発酵乳製品では少ないのでこうした結果につながったのではと推測しています。動物実験ではD-ガラクトースは老化を促進する物質であることがわかっているからです。牛乳は優れた栄養食品といってもあまり多量に摂取しすぎると、含まれる糖類がむしろ体にマイナスの効果となって表われる可能性があるという、考えさせられる報告でした。ただしこれは最終的な結論ではありませんので、直ちに牛乳を控えようというというのは少し時期尚早かもしれません。




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