~実はとても深刻な温暖化の健康への悪影響~
地球温暖化の影響として議論されていることには、豪雨や干ばつなどによる極端な気候現象の発生、また農作物や水産物への深刻な悪影響、海の水位の上昇などがあります。それらは結果として、自然災害、水不足や食料不足をもたらし、人類の新たな紛争の種を生み出すことになるのではと心配されているのです。しかし、温暖化がもたらす健康への影響はあまり議論されていないように思います。科学誌ナショナルジオグラフィックスが最新号の気候変動特集でこの健康の視点でどういうリスクがあるかをレジメしています。(2015年11月号)日本でよく知られているのは熱帯に棲息していた毒クモや蚊などがじわじわと上陸しつつあるという事実でしょうか。実際マラリアやデング熱といった伝染病が温帯域である日本にまで広がっていくという恐れがあるのです。すでに東京では昨年デング熱の感染が話題になりました。アメリカでは、ウエストナイル熱などが猛威をふるっています。今後心配なのはライム病などを媒介するマダニの増加です。さらに記事では次のことも指摘しています。農業や建設業などで労働者の間で熱中症のリスクが極端に高まり労働時間は夜にシフトしなければならなくなること、アレルギーのシーズンが延長して呼吸器疾患の患者が増加すること、干ばつと水不足で都会に住む住民の健康が悪化すること、からだをあまり動かさない高齢者に極端な気象の影響が一番およびやすいこと、洪水や干ばつなどは、自殺やうつなどのメンタルヘルスの問題も引き起こすことなどが指摘されています。医学や健康のアプローチは、平和な世の中がずっと続き、食料も水も確保できることが当たり前の前提として議論されてきたように感じます。そうではなくて、いまや温暖化リスクを考え、こうした医療、健康対策を考える時期に突入しているのではないでしょうか。
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