~「フレイル予防」に向けて、「ウォーキング法」をもっと研究開発すべき!~
日頃の運動(スポーツ)だけでなく、通勤での徒歩や家事などのその人の生活全体の活動量を合わせたものを「身体活動量」と呼ぶようになりました。自分の身体活動量はどのくらいあるのか、そして十分に体を動かしているのかなどを知ることは、中高年の健康維持や老化防止を考えるとき、非常に需要なファクターであると認識されています。特別な疾病のない人で、年齢別にどのくらいの運動量が望ましいかは、国の指針がすでに示されています。厚生労働省が作成した「健康づくりのための身体活動基準 2013」<アクティブガイド>です。ここでは、30分以上の運動を週2回行いましょうとか、歩く時間をあと10分増やしましょうとか具体的に運動量の増やし方を提言しています。これはメタボや心疾患などについて、運動することで予防効果があると実証された、世界のすべての論文をもとに検討されたものであり、いわゆる「エビデンス(科学的根拠)」に基づいた指針となっています。さらにこの身体活動基準では、身体活動量とがん、ロコモティブシンドローム、認知症のリスク低減効果についても検討を加えています。では高齢期の健康を考えるとき、いま最も大切な「フレイル」(身体的フレイル)についてはどうでしょう。例えば後期高齢者について身体活動はどのように考えるべきかとなると、まだまだエビデンスが足らないようです。よく知られているように、内閣府の調査では、70歳以上の人が行なっている運動・スポーツ種目は「ウォーキング」が56.4%と大多数を占めています。そこでこのウォーキングを習慣的に行う支援が効果的だろうと多くの専門家は考えています。しかしどのような「ウォーキング法」はいいのかはまだ議論が進んでいません。世界ではウォーキングや自転車を用いた身体活動量の向上を検討した報告などがありますが、目標をどう設定して継続させるかなどの議論でまだ終始している段階のようです。ウォーキングの「質」や「歩き方の方法」について、もっともっと専門家の議論や研究が必要かと考えます。スポーツ医学、老年医学などの研究者には、例えば速歩(アクティブウォーキング)をどうすれば適切に行えるのか、継続できるのかなど市民目線の研究をもっともっと実施してほしいものです。
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