2015年12月21日月曜日

~そうだったのか!老化は直線的に機能が低下するというのはウソ~

「老化」について人々はどんなイメージを持っているでしょうか。それは運動能力や体力が徐々に低下していく、「右肩下がりのグラフ」のようなものではないでしょうか。こうした直線的に健康度が下がっていくという老化のモデルはいまや否定されつつあります。もちろん重い生活習慣病など疾病をもつ人は、健康寿命に届かずに死亡すると考えられますが、こうした特定の病気にならずに自然に老いる人は、実は晩年まで体の機能を相当部分維持していて、亡くなる直前に急激に機能が落ちていくという、「終末期低下型」と呼ばれる老化の推移をたどるといいます。これは海外や国内での研究から明らかになってきた新しい老化のイメージです。もう20年ほど前に、米国での100歳老人などを対象にした研究を取材したことがありますが、多くの老人が亡くなる直前まで体の機能が十分維持されている実像が明らかになりました。加齢とともに介護の程度がどんどん高まっていくという考え方は間違っていることが示され、その後の米国の高齢者対策に少なからず影響を及ぼしました。さらにこれまで老化現象そのものは「不可逆的に進行」するものと考えられてきましたが、体力や筋力の低下に対して、筋トレなど適切な方法でトレーニングを行うと、実際には身体機能が著しく落ちた人でも、改善する(不可逆的でなく機能が戻ることがある)ことは十分可能ということもわかってきたのです。これは高齢者にとって大きな朗報ではないでしょうか。高齢者は年々できることが減っていくものという通念は間違った考え方だったのです。高齢者の増加で医療費が限りなく増えていくといった懸念が持たれていますが、この新しい老化のイメージに切り替えれば、なにかもっと違うアイデアも生まれてくるのではないかと思います。いまこそ、皆がこの老化の真の姿を知る必要があります。この老化モデルを理解してもらうためには、親しまれる言葉で啓発する必要もあるようです。「ピンピンコロリ」という言葉はあまり好みません。筆者は、とりあえず「なだらか老化論」、「元気な老化モデル」あるいは「アクティブ老化」とかはどうかと考えています。
参考:「健康寿命の延ばし方」大渕修一著など




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