~なぜなの!ゾウはがんになりにくい・・その疑問が新たな治療法へと導く~
まだまだ命をめぐる不思議な話はあるようです。誰もが罹患したくないと思う病気として、がんとアルツハイマー病という高齢者にとってはやっかいな相手がいます。このがんとアルツハイマー病の発症についてお互いの関係を調べたところ、なんと「逆相関」するということがわかってきました(報告:2013 米国VA Boston Healthcare System).。350万人登る高齢者の追跡調査が行われましたが、がんに罹患した人は統合失調症やアルツハイマ―病、パーキンソン病になりにくいという意外な結果が報告されています。しかもこれはがんの種類によらないこともわかっています。この結果を受け研究者たちは、がんの存在がアルツハイマー病に対して、何らかの抑制効果を持つのであれば、アルツハイマ―病の新たな治療薬の開発につながるのではと考えはじめています。まだ仮説の段階ですが、がんを促進させる「遺伝子」が、片方では神経細胞を守る働きを持っているのではと考えられています。しかしその証拠もいくつか見えてきたといいます。そしてこれに類似した研究として、動物の「ゾウ」についての研究があります。ゾウは大きい体にも関わらず、がんになる個体が少ないことが知られています。今年発表された研究結果では、その謎の一端が解明されました(2015 JAMA米国医師会雑誌)。遺伝子の分析を行ってみると、ゾウの体には、がんの形成を抑制するタンパク質(p53)を作るための「遺伝子」が38個あり、これはヒトに比べると19倍にも上る数だとわかったのです。つまりゾウには生まれつきがん化する細胞を殺傷する強力なメカニズムが備わっていたのです。実際がんで死亡するゾウは全体の5%に満たないといいます。ゾウの仲間は進化の過程でこうした能力を「遺伝子の改良」で生き延びてきたといえるでしょう。がんやアルツハイマー病を抑制するという知られていた事実や様々な側面を、遺伝子レベルまで深めて分析、研究すると、これまでにない抗がん剤の開発など新たな治療の光が見えてくるのかもしれません。
0 件のコメント:
コメントを投稿