~いったい誰が消費者にわかりやすく説明するの!食品安全とフードリテラシー?~
加工食品の安全性をめぐる話題が相次いでいます。6月にはアメリカのFDA(米国食品医薬品局)が「トランス脂肪酸」を発生する油の食品への使用を、2018年以降禁止すると発表しました。心臓突然死、冠動脈疾患、メタボや糖尿病のリスクを高めているというのがその理由です。トランス脂肪酸は、植物油を個化する過程で人工的に生まれてくるものですが、マーガリンやショートニングなどに含まれ、その結果、これらを原料として作られる食品、例えばパン、クッキー、スナック菓子、生クリーム、ピザなどほとんどの市販のあらゆる食品に入っているというわけです。ニュースに接した人の中には、マーガリンをやめようと思った人はきっと多かったと思いますが、こうした食品を摂っている限り、真のトランス脂肪酸断ちにはならないのです。背景には米国での冠動脈疾患への対策が喫緊の課題であることが指摘されています。なお日本人の通常の食生活ではトランス脂肪酸の摂取量は安全基準以下で、健康への影響はほとんどありませんというのが内閣府食品安全委員会の見解です。次に話題になったのは、10月になってWHOのがん研究機関、国際がん研究機関(IARC)が行った、加工肉にはヒトに対して発がん性がある、肉(牛、豚、羊)にはおそらく発がん性があるという発表です。10か国、22人の専門家による会議で科学的に判定されたといいます。これもまた消費者にとってはどう考えていいのか困惑する内容でした。今回のIARCの評価は、がんを誘発するかの根拠の強さを特定したもの(ハザード評価)であって、摂取することでがんの起こる可能性(リスク評価)を示したものではないというのです。それってどういう意味?と思わず聞きたくなります。理解できるでしょうか。こちらの問題も日本人では世界とくらべて肉、加工肉とも摂取量は少ないことと、コホート研究(疫学調査)では、直腸結腸がんとの関連は認められないというのが内閣府や国の研究機関などの見解です。国外からの情報に振り回されているのも情けないですが、農水大臣や所管の研究者などのきちっとしたわかりやすい国民への説明こそ、いま必要かと思われます。
その通りだと思います。がんの方は、IARCの加工肉の問題が発表された3日後に、国立がん研究センターが、的確な見解を出しました。こうした見解自体をきちんと伝える人が少ないのが課題のように思います。農水省は産業振興サイドの意図が入ることもあるので、こういう場合は少々注意が必要かもしれませんが。http://www.ncc.go.jp/jp/information/20151029.html
返信削除IARC発表は、バナナの皮は滑りやすいから危険、という意味で、リスクはバナナの皮でどれだけ滑る人がいるかも同時に考慮すべき、という食品安全委員会の解説が素晴らしいです。
返信削除★レッドミートと加工肉に関するIARCの発表についての食品安全委員会の考え方
http://www.fsc.go.jp/fscj_message_20151130.html