2015年10月14日水曜日

~加齢にともなうカラダの変化にいま科学の眼が~

「フレイル」の研究はまだ始まったばかりで、世界的にみても15年ほどの歴史しかありません。そして「身体的なフレイル」については、診断について世界共通の基準が確立していないといわれています。現在評価方法として最もよく用いられているのは米国バルティモアの名門ジョンホプキンス医科大のフリード教授の身体的なフレイル診断法です。その評価の項目は、①筋力の低下(握力で測定)、②活動量の低下(生活不活発、消費カロリーの極端な低下)、③歩行速度の低下、④易疲労感(面倒と感じる、疲れやすい)、⑤体重減少(意図しない)とされています。このうち、3つ以上に該当があればフレイル、1つまたは2つ該当すれば「プレフレイル(フレイルの前段階)」とされます。また②や④はきわめて精神神経的な症状とも考えられますので単に身体的な衰弱だけではないと認識されていることがよくわかります。実際身体的なフレイルは、認知の障害あるいはアルツハイマー病を合併している場合が多いことが報告されています。いま認知症の研究者の中には「身体機能が低下する」ことで「認知機能」が低下していくという新たな考え方が生まれています。しかしこれはまだ科学的な実証がなく、認められた説とはなっていません。しかしいずれにしても、認知機能の低下や筋力の衰弱など加齢にともなう身体の変化が複雑に絡み合って「フレイル」という症状が進行している様子がうかがわれます。高齢者の体の変化はいまようやくその一部が少しずつ解明されようとしているのです。

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