2015年10月7日水曜日

~健康長寿社会実現へ立ちはだかる大きな課題、筋肉減少症~

加齢とともに筋肉が減っていく、加齢性筋肉減少症=サルコペニア。アメリカの医師ローゼンバーグが、1989年に提唱した比較的新しい概念です。その診断基準については議論が続いていますが、ヨーロッパの研究グループが診断基準を出した後、2014年日本が中心となって体格の異なるアジア人の診断基準がアジアの研究者の手で発表されました。現在の診断基準としてはまずは歩行速度の測定。一秒間に0.8メートル以下のスピードでしか歩けないと、歩行速度は低下していると判定されます。つぎは握力の測定です。男性で26kg未満、女性で18kg未満だと握力が落ちていると判定されます。そしてDXA、BIAなどの筋肉量測定装置で体の筋肉量を正確に測定し、低筋肉と判定されると、サルコペニアと総合診断がなされるのです。このサルコぺアがどのようなメカニズムで進行するのか、いまは筋肉内でタンパク質の合成と分解のバランスが崩れるからとしかわかっていません。またこのサルコペニアを予防したり治療したりする承認された薬剤は残念ながらまだありません。対策としては、有酸素運動とともにレジスタンス運動(筋トレ)が筋肉量増加の効果があることが認められており、それてともに栄養管理宇が大切とされます。日本人のタンパク質摂取量は平均で一日あたり0.8g/kgとされていますが、サルコペニアの症状がある方は1.2から1.5g/kgと倍程度の摂取が要るとされるのです。またビタミンD、ビタミンK、ビタミンB群などの適切な摂取も大事とされます。この分野の話題は、ますますこれから大きな社会的な意味をもっていくものと思われます。




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