加齢とともに多くの人は「高血圧」になります。学会が定めるガイドラインでその数をカウントするとわが国の患者数はおよそ4300万人に上るといいます。高血圧は、自覚することがなく進行し、やがて動脈硬化を引き起こし、脳こうそくや心筋こうそくを発症する、死に至る疾患といえるでしょう。
これほど日常でもっとも高頻度に見られる疾患といえる高血圧ですが、その大部分を占める「本態性(ほんたいせい)高血圧」は、その原因が実ははっきりしていないといいます。現在、もし原因を説明するとしたら、ひとつは遺伝的要素(因子)でありもうひとつは生活環境因子だといいます。遺伝的要素とは神経系や、腎臓、血管系などが正常でなくあり、血圧調整がうまくいかなくなるということだといいます。生活環境因子とは、暮らしのなかで、食塩の過剰摂取、喫煙、アルコール、運動不足、ストレスなどが発症に寄与しているという考え方です。これらふたつはどちらも重要な因子であり、結論としては、いわゆる「生活習慣病」の仲間ということになっています。
この加齢にともなう血圧上昇への対策として大きな注目があつまっているのは「運動療法」です。
アメリカの心臓病学会が18歳以上の健康な成人5223人について、精密なデータ分析を行なったところ、有酸素運動やレジスタンス運動による「降圧効果」が明白になりました(2013年発表)。
その要点はおよそ以下のようとされています。
*運動頻度は週2日でも効果が表れる
*また一回の運動時間は30分未満では効果がなく30分から45分の間がのぞましい
*運動強度は中強度が一番効果が表れる。低強度では効果が表れない。
これらはまとめると「中強度の運動を週に2日以上、一回30分以上」ということになります。また高血圧者は、運動の効果が表れやすいこともわかってきたという。原因はわからないという「高血圧」。とりあえず私たちができる予防・改善法は体を適切に動かすということになるのでしょうか。